児童養護施設チャレンジキャンプ2017

最初の打ち合わせが確か2月14日でした。僕は雪の降り積もる長野からオンラインでミーティングに参加しました。
今回は、これまでお世話になってきたキャンプ場を離れ、別の会場を探すことにしました。
夏休みの混雑する時期に、これまでよりも安く、しかも居心地の良い場所を貸切で利用したい。(そんなキャンプ場あるのだろうか・・・)
加えて、頼りにしていた中核スタッフが抜けることになりました。

(ちゃんと運営できるだろうか・・・)とても心細いスタートでした。
(心配事を言い出せばきりがないけれど、とにかくやるしかない!)と踏み出したのを覚えています。

それからおよそ月一回のペースでミーティングを重ね、キャンプ場にも3回足を運びました。
半年の準備期間を経て、無事キャンプを終えた今振り返ってみると、悩みは全て仲間が解決してくれたように思います。

キャンプ場は、友人が活動しているフィールドを使わせてくれることになり、
スタッフも繋がりが繋がりを呼び、「手伝いたい」というありがたい申し出を断らなければならない程、手厚い態勢になりました。

そして迎えたキャンプ当日。
(たくさん準備してきたけど予定はあくまで予定。ライブ感を持ってみんなで作り上げていこう!)

(きっと緊張してるだろうな)そんな想定はあっさり裏切られ、初日から子どもたちは弾けるようにエネルギッシュでした。(これ以上があるのだろうか)
ありました。2日目には、もはや僕の想像できる範囲を超えた子どもたちの姿がありました。僕たちが用意したキャンプに全身全霊でキャンプに体当たりしてきてくれました。
楽しいだけではない、辛さやしんどさ、怖さも感じたことでしょう。
さすがに3日目には、疲れた様子でとってもスローな朝でした。
(今日の滝登りはひょっとするとできないかなあ)そんなこともよぎりました。
それでも挑戦へと向かっていく子どもたち。そばで見守っていて感動を覚えます。踏み出そうかどうしようか、迷ったり、葛藤したりしながら、それぞれなりに向かっていきました。
滝登りから帰った子どもたちは、それまで見たことないような穏やかな様子でゆったりと夕暮れに包まれました。
目一杯心を震わせて、本当に全部出し切ったのでしょうね。
キャンプファイヤーの出し物もみんな工夫をして、手作り感満載オリジナリティー溢れる素晴らしい宴になりました。
最終日。体調を崩すんじゃないかと心配して「昼ごはんまで寝てていいよ」と言ったのに・・・
みんな早々に起きてきました。
「帰りたくない」だって?
(そうかそうか、少しでも長くキャンプを味わいたくて起きてきたのね)
クロージングの時の寄せ書きには、一人ひとりが滲み出ていて、僕にとって宝物になりました。

事業のコンセプトの中にこんな言葉あります。

キャンプのねらい:子どももスタッフもこんな気持ちになって最終日を迎えたい
出し切ったなあ、がんばってよかったなあ、別れるの寂しいなあ、終わっちゃうの寂しいなあ、楽しかったなあ、みんなが大好きだ、このキャンプが大好きだ。
私たちは、このキャンプを通じて、自己に対して、将来に対して、他者に対して、社会に対して、肯定的(否定的・悲観的)で自立的(依存的)な気持ちを育てたいと考えています。「自分で生きていくんだ、人生捨てたもんじゃない、世の中そんなに悪いもんじゃない、夢を持とう、自分次第でどうにだってできるんだ」
目一杯自分や自分たちの力を発揮し、日頃は隠れている自己の力を感じること、仲間たちと信頼を築いていくこと、大人と信頼を築いていくこと、このような体験(肯定的な感情を味わう)を重ねることが、自己や他者、将来や社会に対する肯定的な眼差しを育んでいくものと考えます。

僕自身も、初回のミーティングの時には、想像もしなかった体験をすることができ、素敵な気持ちにさせてもらいました。安っぽい感じもしますが、あえて言葉にするとこんな感じです。
「なんとかなるもんだな」「みんなでやるっていいな」「出会いに恵まれたな」「信頼は力になるな」「人の力ってすごいな」

子どもも大人も一緒になって、みんなで作り上げたキャンプだと実感することができました。

僕が子どもたちに接する時、これだけは大切にしたいと心に決めていることがあります。

「社会に出て、自分で道を切り拓いてく、これって最高に楽しいことだよ」
そういうメッセージを持って接したい。「あんな風に自分も生きたい」そう思えるようなカッコいい大人でありたい。

言い換えれば「社会に出るって大変だぞ、だからこんな力をつけておかなければいけないんだ」というスタンスに立たないということ。
この世に産んでおきながら、しんどいこと背負わせて、「~しなければならない」で縛りつけるなんて、カッコ悪いと思います。

彼らが社会に出た時に、ちょっとでものびのびイキイキと生きられる社会を、僕たち大人が築いていきたい、そういう仕事をしていきたい、そんなことを再確認したキャンプでした。

最後に、関わってくれた人たちにお礼を言いたいと思います。
このキャンプに最高のエネルギーをもたらしてくれた子どもたち、
共に過ごし献身的に動いてくれたスタッフのみんな、
子どもやスタッフを送り出し、その間施設運営を支えて下さった各施設の職員さん、
快く土地を提供し、草刈りやキャンプ場整備、物品の提供等心強いサポートをしてくれたヒロキ、
この事業を助成して下さっている方々、

本当に、本当にありがとうございました。