冒険の旅-海と自転車の旅-6日目の記録
夜は寒かった。夏の日本海は寒いのだ。
一人の自転車好きな少年と早朝4時のサイクリングに出かけ、
そして朝から海へと出勤していく。
今日は、ゴールまで自転車で走るのだから、早めに切り上げて、出発するよ、それから、体力を温存するように。
なんて言ってはみたが、無理だよね。
念願の魚突きに釣り、SUP、浮かんで泳いで。
自転車走行に向けて昼寝をする人もいたが、
3人はずーーーーっと海で遊びっぱなし。
14時くらいには出発しようと話していたのに、一向に帰ってこない。
結局出発したのは17時。
海遊びに全力を出し切り、空っぽの状態で、自転車の出発を迎える。
眠い…
そうだろう。
自転車の居眠り運転は、本当に危ない。
絶対寝ないように、声をかけ合おう。
一人が眠い、という。
周りが、声をかける。
かける声が優しい。
あれ、こんな雰囲気だったっけ?昨日今日で一気に親密になったような?
たっぷり遊んだからなのか?
僕の心も開かれていくのを感じる。
暗くなる頃に走り始めて、
傾いていく太陽と刻々と変わっていく空と海を眺めながら・・・
いや、眺めるというよりは
この景色に溶け込んでいくような心持ちだった。
先頭を行く少年が、言う。
ちょっと止まって写真撮っていい?
だよねー。
パシャリ。
夕暮れの風が肌を撫でる。
目に入るオレンジ色の柔らかい光、耳の奥に響く波の音、もう何もかもが心地よくって、この旅のフィナーレのようなだった。
この子達とこうして旅ができたことがなんとも幸せに思えてならない。
まずい、脳みそまでとろけて眠ってしまう。
絶対無事にゴールまで辿りつかなければならない。
先頭を行く兄貴分の背中がデカい。こんなに頼りになる男になったのか。
きっとみんなも安心して走ったことだろう。
結局ゴールへ着いたのは20時過ぎ。
ほんの3時間、これまでに比べたらごく短い走行だったけど、ほぐれたりワクワクしたり、表現する言葉が見つからないほど豊かで濃密な時間だった。
流石に疲れ果てた様子。
少年は二言だけ発してバタンキュー。
もう走れない。明日は起こさないで。
やりたいこと全部やって、持ってる力全部出し切った、そんな1日だったよね。
おやすみ。