旅は人生の道しるべ

お父さんの想いから始まったこの旅

「節目となる今、中学3年間の棚卸しと新しい目標へと向かっていくキッカケを作ってあげたい」

「一生の思い出になるような経験を」

いろんな話をしたね
友達のこと、進路のこと、流行りのこと、政治のこと、部活のこと、家族のこと、山のこと、昔のこと、気持ちの中にあること

熊野で過ごした4日間はどんな体験だったろうか?
これから時間をかけて色鮮やかになっていくこともあれば、きっと色褪せていくこともあるのだろう

ここで会ったが100年目ってやつだ

家出することがあったらうちにおいで(笑)

巨石がゴロゴロする川原をボルダリングで突破し、存在感のある大滝を攀じ登り、

赤く染まっていく空を眺めながら薪を集め、

これでもかと背負ってきた食事を掻き込み腹を満たし、

焚き火に温もり四方山話

寒さに目を覚まし夜中に薪を足してフーフーしたり、

月光に照らされた悠久の流れに想いを馳せてみたり、

朝の冷え込んだ空気を吸い込んで寝袋から這い出して、

昨日よりも少し自然に馴染んだ面持ちでまた歩き出す、

巨大プールのような淵を泳ぎ、寒さに震えてみたり、

永遠に続くのではないかと思えるように続く滝を一つ一つ乗り越え、

やっと辿り着いた宿泊地


ゆらゆら燃える炎と登っていく煙に身も心も一体となって、

ここで過ごす時間はなんだか懐かしい匂い

パチパチ弾ける炎の横で眠る

斜めに差し込む朝の光はあたたかく心地好い

恒例たっぷりの朝食で腹を満たして、

ちょっとのつもりで始めた魚獲り

時を忘れて昼過ぎまで魚とがっぷり四つ、


我が家に名残惜しい別れを告げまた出発

エメラルドブルーの淵を覗き込んでみたり、どこまでも続く一枚岩の回廊をヒタヒタ歩く


徐々に細くなっていく水は旅路の終わり近いことを知らせてくる


やがて先人たちが歩いた古道へと合流し、人里の匂いを感じる

安堵の中に少しの寂しさを抱えながら古道を歩く

海の見える場所で最後の夜を過ごすことを決めここまでの歩みをふりかえる
むき出しの自然の中で過ごしてきた体験は何を与えてくれただろうか

夜半から激しい雨
地を固めなさいというメッセージだろうか
朝食を済ませ、洗い流された空気の中で歩を進める
一段と濃くなっていく文明の匂いが日常へと向かわせる…

 

フィナーレは日本一の滝にお参り

君のこれからに幸あれ!

また会う日まで元気で!

素晴らしい高校生活を!