冒険の旅
可能性に満ち溢れた子ども時代にこそ、思いっきり自分を耕す経験を
暗くなるまで夢中で遊んだこと
向こう側の景色に魅かれて力いっぱいペダルをこいだこと
喧嘩した友だちがやさしかったこと
上級生の背中がやけに大きく見えたこと
頑張った自分を誇らしいと思えたこと
満天の星空をいつまでも眺めたこと
はじめて別れが寂しいものだと知ったこと
旅から戻ると少しだけ世界が小さく思えたこと
いつかきっとその体験に励まされることがある
冒険の旅は、
訪れてくれる子どもたちが、
奥深い自然の中で出会い
共に挑戦することを通じて
世界を広げていくこと
そしてまた、
この出会いが
将来にわたって続いていく育ちの旅
となることを願って実施するプログラムです。
2024年度に実施予定の旅
【持ち物・準備して頂きたいもの】
各旅の詳細をご覧ください。
テントや寝袋などのキャンプに必要なアウトドア用品はこちらで用意します。
衣類、靴、レインウェア、バックパック、水筒、洗面用具、ヘッドライトなどをご用意いただきます。
【申し込み方法】
各旅の詳細をご覧の上、お申し込みフォームからお申込み下さい。先着順での受付となります。
お申し込み頂いた後、持ち物や行程、参加費のお支払い等について詳細をご案内致しますので参加に向けて準備を進めてくださるようお願い致します。なお、参加費のお支払いを持って申し込み完了となります。
【エピソード】
本当は目立ちたいけど特別なとりえがあるわけでもなく、勝手に自分を「学校でイケてる人ランキング、中の中」に位置付けて、自分に自信を持てずにいた中学生時代。大きく見られたい、どうやって自分を大きく見せようか、そんなことを考えて悶々としていました。
当時サッカーをやっていたのですが、ミスするのが怖くて、「パスをくれ」の声が出せませんでした。練習ですら下手くそなところを見せるのが怖くて、あまり積極的に取り組みませんでした。もちろんうまくなるはずもなく試合にも出られない。出ても練習してないんだから活躍できるはずもなく、挙句の果てには声も出せない。
サッカーは楽しかったし、好きでした。でも、どこかビクビクしながら過ごしていたように記憶しています。
母が東京出身ということもあり、親戚が関東に多くあり、夏休みや冬休みはトーキョーで過ごしていました。田舎の少年だった僕は「おれトーキョー行ってきたぜ」という武装によってイケてるランキングをちょっとでも上げようとしていました。サッカーがダメでもトーキョー武装で取り戻すという発想だったのかもしれません。
そんな僕にも転機が訪れます。伯父につれられてヨットに乗って4日間の航海を経験することになるのです。
中2の冬休み、例のごとくトーキョーで過ごしていました。伯父から「ヨットに乗らないか?」と誘われました。この伯父は、トーキョーの駅にパジャマみたいな格好でやって来て、「おーい、こっちだぞー」なんて人混みを飛び越えて叫んじゃうような人で、当時の僕にとってみたらかっこ悪さの象徴みたいな人でした。この伯父と海に出るなんて、僕がトーキョーに求めていたものとはかけ離れていました。行きたくないとかなり渋ったと記憶しています。未知のことに踏み出す勇気もなかったのだと思います。伯母にも説得され結局ヨットの旅に出ることになりました。
伯父と従兄弟のお兄ちゃん2人、それから知らないおじさんと僕、5人で荷物を積み込み出港しました。出だしこそ快調だったものの途中から海は大荒れで雨、風、波に襲われ、ヨットが転覆するのではないかとドキドキハラハラしました。「来るんじゃなかった、でももう戻れない、せめていきて帰りたい」そんなことを思っていました。伯父はというと、大荒れにもかかわらず冗談を飛ばして笑っていました。「おやっ、あの伯父さんがかっこいい」という気持ちが芽生えたのはこのときかもしれません。何時間かの航海の後、天気は回復し、僕たちは港に到着しました。ヨットの上で火を熾してご飯を食べ、ヨットの中で寝ました。港に無事辿りついた頃から、僕の気持ちも変化して、旅全体がとてもエキサイティングで楽しいものへと変わっていきました。翌日は穏やかな冬の太陽が降り注ぐ中、私は舵を持たせてもらって水平線へと船を進めました。他のメンバーは船室で眠っていました。伯父と2人の空間はなんだか特別なものに思えました。以来、一つ一つの体験が新鮮でワイルドで、それまでの僕がまるで知らなかった遠い世界の出来事のようでした。4日間を海の上で過ごした後、いつもの生活へと帰ってきました。冬休みがあけて学校生活に戻る と、なんだか周りが小さく見えたことは今でも不思議な感覚として覚えています。
海で出会ったかっこいい大人と雄大な景色は、僕に大切なことを教えてくれました。「かっこよさって着飾るものじゃなくて、内側から滲み出るものなんだ」ということを肌で感じたのでしょう。この時から僕の中の「イケてる人ランキング」は重要ではなくなりました。
すると、「どう見られるか」ということばかり気にしていた僕が、一歩を踏み出せるようになりました。クラスメイトが自分を評価する存在だと思っている間は、一生懸命武装して心を閉ざしていたのだと思います。自分を開いてみるとまったく違った景色が見えてきました。いつしかクラスメイトがかけがえのない存在へと変化していきました。3年生の3学期には、「卒業まであと〇〇日しかない」「時間よ止まってくれ」と、そんなことを願いながらカウントダウンしている自分がいました。こんな気持ちになれるなんて海に出る前の自分には想像もできませんでした。モノクロだった世界が彩り豊かなものに変わりました。そして、自分を磨くこと、挑戦することが楽しくなり、自分なりのかっこよさを追求できるようになっていきました。
可能性に満ち溢れた子ども時代にこそ、思いっきり自分を耕す経験を